大判例

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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)10406号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告らは、本件代物弁済の予約は、根抵当権の設定とあわせて締結されたものであつて、その実質は担保権設定契約であるから、債権者である原告は、先ず根抵当権の実行により、目的物件を換価処分し、これによつて得た金員から債権の優先弁済を受けるべきであると主張する。

なるほど、前記甲第九号証ならびに証人塚田平吉の証言(第一、二回共)によれば、原告は、金融業者であり、本件各物件について代物弁済予約を締結したのも、畢竟、貸付金の支払確保のためにすぎず、各物件の所有権の移転によつて貸金債権の消滅を目的としたものではないことが認められるから、本件代物弁済予約は、予約完結の意思表示により、担保物件の名義を債権者に移転させるけれども、これによつて貸金債権が消滅するのではなく、原告は、目的物件を換価処分して、これによつて得た金員から債権の優先弁済を受け、残額はこれを債務者である被告らに返還すべき義務があるものと解すべきである。

しかしながら、原告が右清算義務を果すうえで、被告らが主張するように、先ず根抵当権の実行をなすべきであるとするのは独自の見解であり賛し得ない。けだし、根抵当権の設定とともに代物弁済予約が締結されたのは、債権者が、前記のように担保物件につき処分清算の義務は負うけれども、その清算の方法は、債権者の選択に委ねられている趣旨と解すべきだからである。

さらに、右の処分清算は、目的物件の適正な評価額と債権額との差額が債務者に支払われることが目的なのであるから、その手段、方法に制限なく、債権者である原告自身が目的物件の所有者となり、前記差額を債務者である被告らに支払う方法(いわゆる帰属清算)も可能である。

いずれにしても、右清算の終了するまで、原告の目的物件の換価手続の一環として被告らに対する目的物件の所有権移転の本登記請求権は、これを肯認すべきであるから、原告の右予約完結の意思表示を無効として、右請求を理由なしとする被告らの主張は理由がない。また、代物弁済予約完結の意思表示は、公平の原則に反し無効であるとの被告らの主張も、前記のとおり、本件代物弁済予約が原告に対し処分清算の義務を課すものである以上採るを得ないというべきである。(山下薫)

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